版画の技法
スポンサードリンク
銅版画の主な技法1 ドライポイント
銅版画は使う道具の種類や、直接彫るか、腐蝕液を使うか、など様々な技法があります。
展覧会などで、作品の技法を「銅版画」と言わずに、「エッチング」とか「メゾチント」と呼ぶ事もありますので、興味のある方は覚えておくのもいいでしょう。
ドライポイントは銅版画の主な技法のひとつです。
●直接銅版に工具を使って銅版を彫る技法
◎ドライポイント(drypoint)
先端にダイアモンドが付いた器具や、鋼鉄の針を使い、銅板に直接彫って描画する凹版技法です。
「ドライ」とは、エッチング液を用いないことから、そして、尖った先端をもつ道具「ポイント」で刻描するのでドライポイントと言います。
彫られた線は均一な線ではなく、針で押し出された「ささくれ」や、「まくれ」などをそのままにして刷ることも特徴の一つとされ、独特のタッチになります。
また、線を描きだす自由度も高いことから、技術の習得は比較的難しいとされています。
銅版画の主な技法2 メゾチント
銅版画は使う道具の種類や、直接彫るか、「腐蝕液」を使うか、など様々な技法があります。
メゾチントは銅版画の主な技法のひとつです。
●直接銅版に工具を使って銅版を彫る技法
◎メゾチント(Mezzotint)
金属凹版に「ロッカー」という櫛のような刃がついた器具で版全体に無数の刻みを入れたり、ささくれ状態の線を作ります。
さらにその上をバーニッシャーやスクレーパーという金属のヘラのような器具でささくれを削ったり、ならしたりして絵を描き、刷る際にはインクを細かな刻みに擦り込んだ後に、刻みのない部分からは拭い落とします。
これにより、刻みが残っている部分はインクの色が濃く現れ、刻みが削られたり、ならされたりした部分は白く浮き出るという効果が得られます。
つまり、最初に版を真っ黒にしておいて、あとから白い調子を作って絵を完成させるわけです。
ビロードのような深い黒が表現でき、銅版画の中でも微妙な明暗の加減を表現できる技法とされます。
銅版画の主な技法3 エングレーヴィング
銅版画は使う道具の種類や、直接彫るか、「腐蝕液」を使うか、など様々な技法があります。
エングレーヴィングは銅版画の主な技法のひとつです。
●直接銅版に工具を使って銅版を彫る技法
◎エングレーヴィング(engraving)
「エングレーヴィング」とは版画の凹版技法のひとつで、「ビュラン」という先端にダイアモンドの様な固い刃のついたノミのような器具を使い、銅版に線を彫ります。
そして、その溝にインクを埋め、それを刷って作品を完成させる版画技術のこと。
鮮明な線が得られるのが特徴とされます。
ドライポイントとメゾチントは、彫るというより、銅版の「まくれ」を利用したものですが、エングレーヴィングは彫刻そのものです。
ビュランの断面は鋭い三角形なので、銅版を非常にシャープに彫ることができます。
ビュランで線を彫るのは非常に大変な作業で、たとえば、円を描くにはビュランを動かすのではなくて銅版の方を回しながら彫っていきます。
大変緻密な線が彫ることが出来るので、細かい絵柄の作家が使う技法です。
エッチングに比べると、冷たいシャープな感じの線が得られるのが特徴です。
銅版画の主な技法4 エッチング
銅版画は使う道具の種類や、直接彫るか、「腐蝕液」を使うか、など様々な技法があります。
エッチングは銅版画の主な技法のひとつです。
●腐蝕液を使って間接的に銅版を彫る技法
◎エッチング(etching)
腐蝕液を用いた銅版画の技法です。
まず、銅の表面に「グランド」という防蝕膜を塗ります。
その上を、鉄筆で引っ掻いて線を描くと、グランドがはがれ、線の部分のみ銅の表面が露出します。
この版を、「塩化第二鉄」や「硝酸」といった、銅に対して腐蝕作用のある薬品の中に入れます。
線の部分だけが腐食され、彫られて行きます。
エッチングは、ドライポイントのように「まくれ」はできませんが、
より深く彫られるので、シャープな線が得られます。
また、腐蝕液を使った技法では、線の強弱は、力を入れて描くのではなく、
腐蝕の時間の長さによって調節します。
このエッチングの技法は、銅版による版画・印刷技法として発展してきた歴史が長いため、
銅や亜鉛などの金属加工に用いられることが多いですが、
腐食性のある素材であれば様々な素材の塑形・表面加工に応用が可能です。
銅版画の主な技法5 アクアチント
銅版画は使う道具の種類や、直接彫るか、「腐蝕液」を使うか、など様々な技法があります。
アクアチントは銅版画の主な技法のひとつです。
●腐蝕液を使って間接的に銅版を彫る技法
◎アクアチント(Aquatint)
エッチングは線の表現ですが、アクアチントは面の表現です。
腐食防止用の防蝕剤(グランド)を粗く付着させた銅板に、暗地用の砂糖または塩を、
そして明地用に樹脂の粉末などで飛沫状、砂目状の面を作り、それを腐蝕させます。
エッチングと同様、白くしたいところは「グランド」または「黒ニス」「止めニス」を塗っておき、
腐蝕の時間の長さによって濃さを調節します。
線で明暗を描く技法とは違い、粉末状の面で明暗をつけることにより繊細な色面を表現することができ、
より柔軟な明暗をつけることが出来る技法とされます。
このように版画の技法を知っておけば展覧会などに行ったときに、より深い楽しみ方ができるでしょう。
版画の技法 凸版
版画(はんが)とは、印刷を行なう紙以外に、彫刻や細工を施した版を作り、
インクの転写・透写等によって複数枚の絵画を製作する技法のことです。
版画はその版の仕組みから大きく4つ(凸版画、凹版画、平版画、孔版画)に分類されます。
【凸版画とは】
凸版画は版の凸部に付いたインクが紙に刷られるもので、紙版画、木版画、芋版画などの事です。
(木版は小学校の時にやりましたね、彫刻刀で版を切り出していく技法です、芋版は皆さんも年賀状などでおなじみではないでしょうか。)
木版画は、江戸時代の日本で盛んに使われた技法で、
東洲斎写楽(とうしゅうさい・しゃらく=江戸時代の浮世絵師)、
葛飾北斎(かつしか・ほくさい=富獄三十六景が有名ですね)、
喜多川歌麿(きたがわ・うたまろ=女性美を追求した美人画の大家)など、
世界的に知られる浮世絵も木版画の一種です。
20世紀を代表する世界的巨匠、棟方志功(むなかた・しこう)画伯も版画の技法にこだわり、
木版の特徴を生かした作品を一貫して作り続けました。
版画の技法 凹版
版画(はんが)とは、印刷を行なう紙以外に、彫刻や細工を施した版を作り、インクの転写・透写等によって複数枚の絵画を製作する技法のことです。
版画はその版の仕組みから大きく4つ(凸版画、凹版画、平版画、孔版画)に分類されます。
【凹版画とは】
凹版画は、版の凹部で図柄を構成する版画の技法です。
西洋美術の世界では、もっとも広く用いられた版画技法で、特にルネサンス期以降、銅を版材とする銅版画において多くの製版技法が開発・蓄積されてきました。
平版画や孔版画が未発達であった19世紀以前には、単に版画といえば、多くの場合「銅による凹版画」を指していました。
銅が高価なため現在は工業用や教材用としてポリ塩化ビニル板なども用いられますが、美術作品としては依然として銅材による作品が多いようです。
凹版画の印刷手順はまず、版全体にインクを乗せたのちに、これを布などで拭き、凹部にのみインクを残します。
あとは、この版と紙を重ねて圧力をかければ、凹部のインクが紙に転写されて画が完成します。
版画の技法 平版
版画(はんが)とは、印刷を行なう紙以外に、彫刻や細工を施した版を作り、インクの転写・透写等によって複数枚の絵画を製作する技法のことです。
版画はその版の仕組みから大きく4つ(凸版画、凹版画、平版画、孔版画)に分類されます。
【平版画とは】
平版画とは石版画、リトグラフと呼ばれているもので、油が水をはじく原理を利用した技法です。
石版画の名の通り以前は石を版に用いましたが、近年は扱いやすいアルミ板を使うことが多いようです。
アルミ板などに油分の強いチョーク、クレヨン、油性のペンシル(ダーマトグラフ)などで絵を描き、アラビアゴムや薬品を塗って版を作ります。
以下は平版画の技法を活用した主な画家です。
◎ロートレック=南仏生まれの画家、代表作は「ムーラン・ルージュ」など多数。
◎ミュシャ=アールヌーボーの旗手、女性や花々などを流麗な線で描いた作品は高く評価され、現代でも圧倒的にファンが多いですね。
◎シャガール=幻想的で色彩豊かな華麗な作風が特徴。
◎エッシャー=いわゆる「だまし絵」と言えば、この方。
オランダの画家、版画家で、その作風は「エッシャー的世界」と呼ばれるほど独創的です。
版画の技法 孔版
版画(はんが)とは、印刷を行なう紙以外に、彫刻や細工を施した版を作り、インクの転写・透写等によって複数枚の絵画を製作する技法のことです。
版画はその版の仕組みから大きく4つ(凸版画、凹版画、平版画、孔版画)に分類されます。
【孔版画とは】
孔版画は版に穴を開け、穴の開いた部分をインクが通り下の紙に刷られる技法です。
主にステンシルやシルクスクリーンなどがあげられます。
(ステンシルは型抜き版画とも言いますね、アクリル版に花や動物などの型を抜いたステンシル版が手芸用品店などでも置いてあります、シルクスクリーンは学校の美術の授業で習った方もおられるのでは。)
昔、学校などで藁半紙に印刷していたガリ版印刷なども孔版の一種ですし、家庭用印刷器のプリントゴッコなどはシルクスクリーンの技法をアレンジしたものです。
シルクスクリーンを多用した画家として、アンディ・ウォーホルやトーマス・マックナイト、日本人アーティストの山形博導(やまがた・ひろみち)などが特に有名です。
印象派の巨匠ドガの版画技法
フランス印象派の巨匠、エドガー・ドガ(Edgar Degas 1834-1917)。
踊り子をモチーフとした作品で有名です。
ドガは1855年、エコール・デ・ボザール(官立美術学校)でアングル派の画家ルイ・ラモートに師事、
1856年、1858年にはイタリアを訪れ、古典美術を研究しています。
作品は油彩のほか、銅版画や石版画の技法にも深く関心を持ち、晩年はモノタイプの技法に傾倒し、
300枚もの白黒のモノタイプで作品を制作したそうです。
晩年は視力の衰えから彫刻を制作しました。
●モノタイプとは
原版一枚から版画一枚だけを刷る技法です。
ガラスや金属の板に描画し、これを紙などに転写したもの。
モノプリントとも呼ばれます。
銅版画や石版画のように製版をしないため、何度もインクをのせて刷ることは出来ませんが、
一度刷った後の版に残っている絵具・インクをそのままもう一度刷れば、そのたびに少しずつ違った作品が出来上がります。
したがって、一点(一品)制作の版による絵=版画と見なされています。
